ZINE「HYPERRTEXT」 #0のこと

その他 | 12/30/2022
本年もお世話になりました。2022年は初となるZINEを製作しました。

このサイトを始めたのが、元々は、自分の興味のあることや知っていることなんかを、ジャンルを問わず書き連ね、その相互間の影響や関連を「リンク」という形に出力できたら面白いなぁ、というようなことでした。なんか、自分は「関連」に興味があり、あんまり、例えば「音楽だけの話をする」みたいなことができません。多分、それで「こいつは一体何なんだ」となってる人も多い気がします。Twitterではそれが全面に出てしまい、「俺/私はそういう話を目的にお前をフォローしていないぞ」という声が聞こえてきそうです。ご迷惑をおかけしています。

そういえば、だから元々はこのサイトも、ジャンルによって全部別の名義と架空のキャラクターで書こうとか思ってたんですよね。音楽はこの名前で、ストリートアートはこの名前で……みたいな。覚えてるのは、「アメリカ史」の担当用に「メリー健作」という、なんかグーにモザイクかかった森田健作の画像を作ってた気がします。


ありました
それで、「その人たち全員」って設定で「SAPPORO POSSE(=集団)」にしよう、みたいなのが最初はありました。どうやら地方の一都市にいるらしい集団がやっている、よくわからないサイト……かと思いきや全部一人でやってる、みたいな。ところがなんと、めんどくさくなってしまいまして。

今はなんか、「でも人間ってキャラクターじゃないしな」と思い(←開き直り)、その辺は適当でいいというか、昨今の世情を見て何となく「インターネット上のキャラクターってのも考えもんだな」となり、そこはもう適当な方がいいんじゃないか、とか思うようになりました。まあ、そっちで貫いたら、それはそれでコンテンツとしては面白かったのかもしれませんが。ともかく、ただの一個人なのに「POSSE」とついてるのはその名残です。今となっては意味不明だがしょうがない。


何の話だっけ。ああ、そうそう、サイトで考えていたことの話です。先の話に戻りますが、自分の知見の「関連そのものをリンクにする」というのが、あえて「個人サイト」を標榜している理由だったりしました。
去年、日本のヒップホップについての記事をいくつか連続で公開したんですが、「stillichimiya編」の途中で急に「YOU THE ROCK編」にカットインしたのもそれで、一応この二つの軸は関連していて、それをレイヤー的に重ねながら読んでみて欲しい、みたいなことを思っていました。

ところが個人的にはどうも、あまりそれがうまくいかず…。どうにもやっぱり、ひとつの記事はひとつの記事で完結してしまうので。まあそれはそれで別にいいんですけども。

だから何だったら、全部の文章を章ごとにぶった斬って、章ごとにひとつひとつメタデータを仕込んで、そのメタデータをもとにランダムに、関連する「続き」を吐き出す、みたいなシステムを作ろうかなとか思ってました。
そうすればもしかしたら、その場限りの連続したテキストを無限に吐き出しながら、たとえばPファンクの話から、イシュメール・リード繋がりでロバート・アントン・ウィルソンに繋がり、トマス・ピンチョンからライムスターの話に着地したりできるかもしれません。それは多分「ウェブサイト」というフォーマットでしかできなさそうだし、なんか、ウェブサイトという体裁を借りたひとつのプロダクトとしても単純に面白そうです。そこで発生する事故的な関連も面白いですし。バロウズのカットアップの変種というか、まあなんかよくわかりませんが。多分僕、本来的に「文章を書く」こと自体に目的があんまりないですね。

何の話だっけ。ああ、そうそう、リンクがうまくいかないって話です。先の話に戻りますが、自分の中には、「リンク」、つまり「”関連”というものの出力」、というのがテーマとしてずっとありましたから、じゃあそれがウェブサイトでうまくいかないなら、web上のリンクでなく、物理的に「一冊にしてしまったら」どうだろう? みたいなことを思ったんでした。
それでZINEを作ろうということになりまして、タイトルはWEBページ記述言語のHTML、「HyperText Markup Language」からとって「HYPERTEXT」としました。あとなんか、「ハイパーなテキストだぜ」的な、ヒップホップ的なボースト感もあっていいなと思い(そうか?)。

テーマは前々からやりたかった「カウンターカルチャーと陰謀論」に据え、複数のトピックを選びました。しかしそれら複数の記事を、一本ずつ始めから終わりまでダーッと書くのではなくて、それらのトピックが2〜3章に分かれながら、並行して進んでいく感じになっています。そして、それらは基本的には別の記事でありつつ、「さっきの話に出てきたアレがここに繋がってくる」みたいなのがたくさんあり、全体としては群像劇みたいになっています。

もっとも、これは必ずしも1ページ目から順繰りに読んでくれという話ではなく、そこは「雑誌」の曖昧さを持たせながら(その感じを出したくて文体とか書体も記事ごとに変えました)、順番を無視してエピソードの続きに飛んでもいいですし、しかし全体として一つにつながっている、というような感じを意識しました。僕も読み返したら楽しかったので、試みとしては成功、というか、形としてまだベストではないですが、可能性を感じました。

そんな感じなので、いずれ何年かしたらそれぞれの記事をまとめてネットでも読めるようにはするとは思うんですが、ネットで読むと多分その感覚はなくなるので、一応、これはこれで、「冊子」の形態になっている意味があります。と、そこはとりあえず言い切っちゃっていい気がします。

というわけで、こんな目次になっておりました。

ロバート・アントン・ウィルソンという、1975年に『イルミナティ』という小説を発表した作家・編集者を中心に据え、その周辺の文化と、あとそれとは一応別軸で、「イッピー」という、1960年代後半から1970年代前半にかけて異彩を放った集団について取り上げ、彼らの個々の活動が、現在も含めてどう社会に影響したのかを振り返りつつ、様々なカルチャーへの影響を、全体を通して明示的、あるいは黙示的に提示する、というような感じになっています。このサイトで取り上げた、「『イルミナティカード』でちゃんと遊んでみたよ!(あるいは『予言』という陰謀論を解体する試み)*という記事も再録されていまして、それに関連する……というか、こっちが関連してる感じですかね。

このZINEは、2022年10月23日に札幌で開催された、NEVER MIND THE BOOKSというイベントをひとまずの目標に製作しておりまして、本当はもっと書きたいことがあったんですが、半分くらいしか仕上がらず、じゃあ取りあえず今できてるところまでを「第0号」として、正式なのを「第1号」として後日出して、その時はネットで全国的に買えるようにしよう、みたいなことになりました。

予定の半分になったにもかかわらず、結局印刷も業者に出せなくて、友達の会社にお願いしてレーザープリンターを使わせてもらい、泊まり込みで印刷と製本をし、イベント当日の朝6時くらいから断裁してどうにか10時頃から販売に間に合いました。すみません、言い過ぎました。当日ちょっと遅刻しました。


イベントは正直めちゃくちゃ楽しくて、もっと色々話したかったなーという感じでした。ただアレですね、「Twitterで見て」という人が多かったんですが、アカウント聞ききそびれてしまいまして、それが悔やまれます。多分相互フォローになってる人も多かったんだと思いますが、誰が誰か分からないままになってしまいました。


イベント後、北大近くのシーソーブックスという書店に十数部ほど置いてもらいまして、そちらも完売しました。多分イベント分と合計で80部くらいだったと思います。


そんなわけで、基本的には札幌の人向けの号のつもりで、部数もそんなもんだったんですが、なぜかばるぼらさん*(a.k.a.情報DIGの先輩&インターネットの先輩、この呼称で当サイトに登場するのは2度目)がSNSで上げてくれてるのを見て、めちゃくちゃ焦りました。
ばるぼらさんには度々、記事にリアクションを頂いたり、Wayback Machineのマニアックな使い方を教えてもらったり、自分の公開した記事に関連した「雑談」という名の補足を公開して頂いたりと*、面識こそありませんが、自分は単なる一読者以上の恩義を感じており、第一号(正式な方)が出たら献本したいなーと勝手に思っていたうちの一人だったので、焦りました。「何でそこにあるんだ」ってなりました。

その後、これまた僕が一方的にブログを読んだりフォローしたりしていた動物豆知識botさんが「2022 BEST ZINE」という一文とともに上げてくださってて、ブチ上がった…より先に、やはり「何でそこにあるんだ」ってなりました。面識はおろか、ネット上でやりとりしたことも一切なく、自分のことなど知らないだろうと思っておりましたので。やー、嬉しかったです。

ばるぼらさんからはその後しばらく反応がなく、「あちゃーダメだったかーやっぱ正式な方を渡したかったなーだって知らないうちにもう勝手に持ってんだもんなー」などとブーたれておりましたが、年末に動物豆知識botさん、ばるぼらさんの両名がそれぞれ「商業刊行物も含めて2022年に国内で印刷された紙のベスト」「2022年のベスト本」として挙げてくださり(ZINEではなく『本』部門での受賞です!)、めちゃくちゃ励みになりました。第一号の作業が停滞気味だったので余計に。


二冠達成です。決してこの世に多くは存在していないアレをわざわざ入手してくださり、ありがとうございました。しかし本当にやっぱり、何でそこにあるんでしょう。

あと、遅刻を心配してくれてた土山くん、ごめんね&ありがとう。多分第一号にはアランムーアの記事も入れるから、来年は彼のところに線香上げに行きましょう。Kelopeloさん、Masae Ohsugiさん、ありがとうございました(聴きました&読みました!)。イベント当日僕の準備不足をフォローしてくれた麦さん、おそらくブースの位置に気を遣ってくれたであろう運営のコジマさん(笑)、ZINE製作を勧めてくれたマスモリさん(DOLLとROOTS MAGAZINEありがとうございました)、印刷の相談に乗ってくれた&千円貸してくれたあきらくん(@スガラムルディ)、普通に友達になった西村くん&ルカさん、シーソーブックスの神さん、(に)さん(←名前書いていいの?)さん、シリウス・コネクションな夜を提供してくれた草嶋、JERRY “KOJI” CHESTNUTSさん、DJ DYEさん、奈良さん、「怪談師の友達」こと俺の藤田、印刷に協力してくれた板倉、そして、イベントに来てくれた皆さん、ならびにシーソーブックスで買ってくださった皆さんに、この場を借りて心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

というわけで、2023年は「HYPERTEXT」第1号を完成させられるように頑張ります。そちらはBASEなり何なりで、ネットで買えるようにする予定です。あと、置かせてくれそうな書店などぼちぼち探しています。何かご存じでしたら教えてください。皆様良いお年を。ではではー。



追伸:
ZINE、買いたかったけど情報を見逃してた!というご連絡を多く頂いたので、各種SNSのリンクを貼っておきます。よかったら登録してください。ZINE関係のはちゃんと報告するようにしていきます。笑

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